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人形師の憂鬱

父は人形師だった。
父は母も僕も愛していた。



ある日父は僕をモデルにした人形を作った。
それきり、僕と母の元から永久に去った。
人形が父を連れて行ってしまったからだ。


僕は人形を憎んだ。


僕は僕の人形を超える人形を作りたかった。
そして父を超えたかった。



しかし、僕は父になれなかった。


幾人の女が僕のために人形になった。
しかし、僕は僕を超えることができない。
それほどまでに僕は美しく、どこにもいなかった。


僕は僕になることすらできないのに、時ばかり過ぎて行った。



いつしか僕は父を超えたと誰かに言われた。
僕の作る人形は美しいと、誰もが褒め称えた。

でも僕の心は人形に閉じ込められたままだった。
かつての父のように。



閉じ込められていたのは、狂おしいまでの慈愛。
ガラス玉に浮かぶ憐憫。
創造主こそが孤独の存在。
人形たちは僕を見て笑う。


やっと見つけた僕が笑う。

それを見つけて僕も泣く。

現世の僕は僕を抱いて

僕をズタズタに引き裂いた。





現代版源氏物語を創ろうとしたつもりが何故こうなった。

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