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漁師とその魂

むかしむかし、とある漁師の網に人魚がかかりました。

人魚は海に帰してと懇願するので、

漁師は条件をつけて人魚を放してあげました。


その条件は、漁師が呼んだときに人魚がやってきて歌い

辺りの魚をおびき出すことでした。

魚は人魚の歌う不思議な歌が大好きなのです。


そのうち、漁師は人魚に恋をしてしまいました。

「君が好きになってしまった。君と結婚したい」

「ダメよ、人間には魂があるけど、人魚にはないもの」

人魚は魂を捨てれば一緒になれると言いました。



お月様は0点 ‐モデルノロジー研究所‐


しかし魂を捨てる方法などわかりません。


漁師は司祭様に話を聞きに行きました。

「魂を捨てるなどとんでもない、魂こそ最高に価値のあるものだ」

「人魚など人間以外のものに恋をするなど馬鹿げている」


次に漁師は商人に魂を売りつけようとしました。

「魂? そんなも、銀貨一枚にもならないよ」


最後に漁師は町はずれの魔女のところに行きました。

「満月の夜に私と踊ったら教えてあげる」

ところが魔女は、漁師を自分のものにしようとしていたのです。

人魚が大好きな漁師は魔女の誘惑を振り切って

ついに魂を切り離す方法を教えてもらいました。


海辺でさっそく魂を切り離すと、漁師の魂は離れたくないと言いました。

しかし、漁師の決心は固かったのです。

「どうしてもお別れするというのなら、私にあなたの心をください」

「心を無くしたら、人魚を愛する心を無くしてしまうからダメだ」

漁師は魂を残して、人魚の待つ海へ入っていきました。


それから一年後、魂は漁師を海辺に呼び出しました。

「私は旅をして知恵を手に入れました。私と一緒になれば知恵はあなたのものです」

「いいや、知恵より愛のほうがいい」

漁師は魂を残して海へ帰っていきました。


それからまた一年後、魂は漁師を海辺に呼び出しました。

「私は旅をして富を手に入れました。私を一緒になれば富はあなたのものです」

「いいや、富より愛のほうがいい」

漁師はまた魂を残して海へ帰っていきました。


更に一年後、魂は漁師を海辺に呼び出しました。

「私は旅をして、足をむき出しで踊る少女と知り合いました」

これには漁師も心が揺らぎました。人魚には足がありませんから。

「よし、一緒になるから連れて行ってくれ」


ところがそれは漁師と魂が一緒になるための口実でした。

魔女の魔法は一度漁師と魂が一つになると元に戻ることができなくて、

心をもらわなかった魂は悪いことをしても平気な生活をしていたのです。

後悔して人魚を呼んでも、人魚は海辺に現れません。

漁師は魂を抑えて失意のまま暮らしました。



お月様は0点 ‐モデルノロジー研究所‐


ある日、海のほうから悲しい悲鳴が聞こえました。

大荒れの海へ出てみると、人魚の死体が上がっていました。

漁師は人魚にすがりつき、とても悲しみました。

「はやく逃げないと、海に飲まれるぞ」

「もういいんだ、人魚が死んだなら生きている意味はない」

魂がせかしますが、漁師は人魚を抱いたまま動きません。

遂に海に飲まれてしまいました。


やがて人魚を抱きしめて亡くなっている漁師を人々が見つけました。

「人間以外の者を愛したなど汚らわしい」

司祭様は彼らをきちんと埋葬しませんでした。


やがてとある礼拝の日、見たこともない花が祭壇に飾ってありました。

その花を見て、香りに触れて、司祭様は

いつも神の怒りの話をするのに、その日は愛についての話をしました。

人々は泣いて聞き、司祭様も不思議に思いました。


「この花はなんという花だ」

「さあ、名前はわかりません」

生えていた場所を聞くと、それは漁師と人魚を埋めた場所でした。

司祭様は人間だけでなく、この世の全ての生きているものに祈りを捧げました。

するとその花はもう二度とそこに咲くことはなかったというそうです。

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