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出せなかった写真

「よーし、そこから写真撮ってくれよ」


海めがけて崖の上から飛び降りて、そのまま友人は浮かんでこなかった。


それも、もう何年も前の話である。



遺体も見つからず、彼が海に飛び込んだ写真だけが

最後に彼が遺したものになってしまった。


思い出したようにカメラを写真屋に持って行ったが、

何故か彼の飛び込んだ写真だけない。

フィルムもそこだけ切り取られていた。



彼の最期の写真なので、店の主人に掛け合った。

「そうですか……それでは余計見ない方がいいでしょう」


納得がいかない僕は店主に食い下がった。

「そこまで言うのでしたら……後悔しないでくださいね」


店主は渋々彼の写真を持ってきた。

そして僕は店主の言葉通り、後悔することになった。




崖から勇ましく飛び降りる彼と、


それを海中へ深く引き込もうとする無数の手が写真には写っていたからだ。

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